労災保険以外の保険から支払が受けられる場合

労災保険において労働災害と認められた場合、勤務先において、以下の私保険(「労働災害総合保険」「業務災害総合保険」等の名称)に加入していれば、被災者の方は、労災保険以外に、私保険からも保険金の支払を受けられることがあります。

 

労働災害が発生した場合に備えて、勤務先において加入している保険ですので、基本的に使用することで勤務先との関係性に問題が発生することは少ないです。

そういった意味で、労働災害以後も同じ勤務先で就労し続ける場合であっても、請求しやすい保険金となります。

 

労災保険による給付には、慰謝料は含まれていませんし、休業損害や逸失利益も、損害全体の一部のみであり、100%が補償されているわけではありません。

そのため、事業主(会社)において私保険に加入している場合、少なからず支払われる保険金があることが通常です。

 

労災保険において労働災害と認められた場合は、勤務先に、労働災害に関する私保険に加入していないかどうか、確認されることが必須です。

 

1 法定外補償保険

労災保険の給付が決定された労働災害について、被災者に対して、労災保険に上乗せして給付がなされる保険です(労災(補償)給付とは別に、企業が独自の立場から補償給付の上積みを行うものといえます。)。

保険が適用される労働災害に該当するか否かは、労災保険の判定に従うのが通常です。

 

2との違いは、事業主の過失が認められない場合でも請求できることです。

 

2 使用者賠償責任保険

事業主側の責任となる労働災害が発生した場合、被災者またはその遺族からの損害賠償請求により、事業主が法律上の損害賠償責任を負担することによって生じる損害に対して、被災者に保険金が支払われます。

 

1との違いは、あくまで事業主に過失が認められて、法律上、損害賠償責任を負う場合に初めて請求できるということです。

 

ただ、現状は、上場企業等でないと加入していないことが多いのが実情ではあります。

しかしながら、事業主(会社)に念のため確認されることをお勧め致します。

 

保険会社は、「労働災害総合保険」「業務災害総合保険」といった名称で販売していることが多いですので、上記名称の保険に加入していないかご確認下さい。

当然ですが、ご依頼頂いた場合には弊所にて、事業主(会社)に確認させて頂きます。