労働災害発生から解決までの流れ

1.労働災害発生

業務中の場合

事故から時間が経過すれば災害状況に関する記憶が薄れてきてしまい、細かな重要な事実を忘れてしまうこともあり得ます。

 

後に、事業主(会社)に対して損害賠償請求することを想定して、事故発生状況を詳細にメモしておくことが重要です。

 

可能であれば、事故が発生した現場の状況を写真撮影するなどして、客観的な証拠を残しておくことが望ましいです。

 

通勤中の場合

通勤中の自動車事故の場合、通常の交通事故と同様、警察に通報して、実況見分等を行っておく必要があります。

 

また、自動車に乗車中であったのであれば、自分の自動車保険会社にも事故の事実を連絡する必要があります。

 

2.治療

労働災害により怪我を負ったのであれば、できるだけ速やかに病院に通院する必要があります。

 

事故から通院まで期間が空いてしまうと、後に因果関係が問題となることも考えられますので、早めに通院することが重要です。

 

病院では医師に、自分の症状を正確に伝えて、レントゲン、MRI等の撮影を速やかに受ける必要があります。

 

医師は目に付きやすい症状に重点をおくことが多く、目に見えにくい症状は見落とされてしまう恐れがあります。

 

軽い症状も含め、全ての症状を漏れなく正確に伝えることが重要です。

 

3.労災保険給付申請

治療に関しては、療養(補償)給付の申請書を、医療機関に提出する必要があります。

 

休業を余儀なくされたのであれば、休業(補償)給付の申請書を労働基準監督署に提出する必要があります。

 

労災給付の申請は、本来的には、被災した本人ないしご遺族が行うものですが、事業主(会社)ないし事業主(会社)と契約する社会保険労務士が代行してくれることもあります。

 

4.後遺障害認定

一定期間、治療を継続しても、症状が残ってしまった場合には、障害(補償)給付(後遺障害)の申請を行う必要があります。

 

後遺障害の申請に当たっては、医師が作成する診断書の記載が重要です。

 

自覚症状、画像所見、医学的検査所見等はできるだけ漏れなく記載してもらう必要があります。

 

5.事業主(会社)との交渉

労災保険給付においては、休業損害、後遺障害の逸失利益について、損害全体の一定割合しか支払われません。

 

また、慰謝料は、そもそも含まれていません。

 

そのため、損害全体の塡補としては、不十分な内容となっています。

 

そこで、事業主(会社)が民事上の損害賠償責任を負う場合には、労災保険給付で塡補されない部分を事業主(会社)に請求する必要があります。

 

事業主(会社)の側から自発的に「一定額の賠償金を支払う」との申し出がなされている場合もありますが、裁判所の基準と比べると不十分な場合が多いです。

 

また、事業主(会社)からは、賠償金について何の説明もない場合も少なくありません。

 

あるいは、「あなたにも落ち度(過失)があるのだから、会社に請求できるものはありません。」との説明がなされている場合もあります。

 

しかしながら、被災者に過失が認められる場合であっても、事業主(会社)に対して、一定の賠償金を請求できる場合が多いです。

 

事業主(会社)に対する賠償金の請求について、懸念がある場合は弁護士に相談されることをお勧め致します。

 

6.裁判手続き

弁護士において、事業主(会社)と交渉しても、不十分な提案しかしてこないことも少なくありません。

 

事業主(会社)の顧問弁護士が出てきて、一切の支払を拒否してくるケースもあります。

 

そのような場合には、裁判手続により、強制的な支払を求めることになります。

 

裁判手続としては、民事訴訟、民事調停、労働審判が考えられます。

 

事故から時間が経ちすぎていて、証拠が十分に集められないような場合には、民事調停を活用することも考えられます。

 

あるいは、早期の解決を希望する場合には、労働審判という手段を採ることもあり得ます。

 

7.解決

労災保険給付、事業主(会社)からの損害賠償金により、被災者の方が被った損害が全て補填されれば、解決ということになります。

 

弊所では、事故発生直後から解決に至るまでトータルサポートさせて頂いております。

労働災害にご懸念がある場合はお気軽にご相談下さい。