労災不支給決定に対する不服申立(再申請)
労災保険に給付の申請をした場合に、不支給の決定がなされることがあります。
また、障害(補償)給付の申請をして、後遺障害の認定がなされたものの、実際に残ってしまった症状と比較すると、認定された等級が不相当に軽い場合があります。
そのような場合には、再度の申請(不服申立)をして、再検討してもらう必要があります。
再度の申請の方法として、以下の手段が考えられます。
いずれも申立の期限が比較的短期間に設定されていますので、労災保険の不支給処分等がなされた場合には、速やかに弁護士に相談頂く必要がございます。
審査請求
労働基準監督署長が行った不支給処分等の決定に不服がある場合に、最初の処分の取り消しを求めておこなう申立です。
審査請求の趣旨、審査請求の理由等を記載して、提出することになります。
審査請求は、決定を行った労働基準監督署長の所在地である各都道府県の労働局に置かれた労働者災害補償保険審査官に対して、行うことになります。
特に手数料等は必要ありません。
審査請求ができる期間は、決定があったことを知った日の翌日から3ヶ月とされています(具体的には決定通知書を受け取った日から起算します。)。
審査請求・再審査請求に対する不利益変更は認められていませんので、審査請求や再審査請求をしたことで、1度認定された後遺障害等級が低く変更されることはありません。
再審査請求
労働者災害補償保険審査官が審査請求を棄却するという決定を行った場合、再審査請求を行うことができます。
再審査請求の趣旨、再審査請求の理由等を記載して、提出することになります。
再審査請求は、労働保険審査会に対して、行うことになります。
取消の対象は、審査請求の結果ではなく、「最初の労働基準監督署長の行った処分」となります。
再審査請求も特に手数料等は必要有りません。
再審査請求ができる期間は、審査会が作成した決定書が送付された日の翌日から2ヶ月以内とされています。
取消訴訟
審査請求や再審査請求によっても、結論が変更されない場合、処分の取り消しを求めて、取消訴訟を提起することが考えられます。
取消訴訟の対象は、審査請求の決定や再審査請求の裁決ではなく、「最初の労働基準監督署長の処分」であることに注意が必要です。
裁判所は、通達や労災認定基準などの労働基準監督署長のしたがう判断基準には、必ずしも拘束されないため、労災認定基準には当てはまらない事案でも、救済される可能性があるといえます。
取消訴訟を提起する期限は、審査請求の決定が送達された日の翌日から6ヶ月以内、再審査請求の裁決が送達された日の翌日から6ヶ月以内とされています。
再審査請求を必ずしも経る必要はなく、審査請求の決定が出た後であれば提起できますし、審査請求をして3ヶ月を経過しても決定がない場合は、提起することができます。