労災事故を依頼すべき弁護士とは

1 労働災害事案の解決に尽力している

労働災害は、弁護士が取り扱う分野の中でも、専門性の高い分野の1つです。

そもそも、請求自体が、労災保険給付の請求と、事業主(会社)への損害賠償金請求の二本立てになっています。

 

労災保険給付には、労災保険給付独自の期間制限等が設けられていますし、場合によっては、労災保険に関する労働基準監督署長の処分の取り消しを求めて、国に対する行政訴訟を提起しなければならないこともあります。

 

事業主(会社)に対する請求に関しても、被災者から事故状況を正確に聞き取り、事業主(会社)の安全配慮義務違反を問うことができるのか否か、あるいは、被災者の側に過失が認められてしまうことはないか、仮に認められたとして、その割合はどの程度か等、専門性の高い検討が求められます。

 

特に、労働災害における被災者の過失については、自動車事故の過失割合のように、裁判官が関与して作成された類型的な過失割合というものが存在しません。

個々の弁護士が、過去の裁判例等と比較して、見通しを立てるほかありません。

 

そのため、労働災害事案に注力して、労働災害分野に精通していることが不可欠です。

一昔前のように、あらゆる分野に取り組んでいて、労働災害については、数年に1件取り扱う程度といった弁護士では、事業主(会社)側の弁護士と対等に戦うことが困難といえます。

 

2 後遺障害の等級認定に精通している

労働災害保険の給付金や事業主(会社)から支払われる損害賠償金においては、後遺障害に関する損害が大きな割合を占めます。

したがって、適正な損害賠償金を受け取るためには、適正な後遺障害の等級認定を受けることが非常に重要です。

 

しかしながら、労働災害の後遺障害は、1級から14級まで詳細に定められており、全てを完全に把握することは容易ではありません。

相談にいらした被災者の方の症状を詳しく聞いて、当該症状がどの後遺障害に該当するのか見通しを立てて、その後遺障害等級が認定されるために、必要となる検査等を的確に受けられるように助言できる必要があります。

 

当然、医学的な知識も不可欠です。

後遺障害の診断書を作成するのは医師ですが、医師は治療の専門家であり、後遺障害の専門家ではありません。そのため、時に診断書の記載が不十分であることも散見されます。

そのような場合には、医師と協議をして、記載の追記ないし修正等を依頼することも考えられます。

 

結果として、後遺障害の等級認定に精通している弁護士と、そうでない弁護士とでは、最終的に獲得できる後遺障害等級に差が出ることがあり得ます。

そして、差が出た場合には、冒頭に記載したとおり、被災者の方が受領する損害賠償金に大きな差が出てしまうのです。

そのため、後遺障害の等級認定に精通している弁護士であることが不可欠といえます。

 

3 人身傷害事案に関して豊富な経験を有している

人身傷害事案においては、特に交通事故事案の裁判例の蓄積が大きく、治療費、休業損害、傷害慰謝料、介護費、後遺障害の慰謝料ないし逸失利益など、膨大な量の規律が実務上確立されています。

 

これらを豊富な経験から十二分に把握して、事案に取り組む場合と、ほとんど初めて知るような状態で事案に取り組む場合とでは、主張・立証の仕方に違いが生じることがあり、最終的な結果にも大きな差が生じることがあり得ます。

 

また、人身傷害事案に関して豊富な経験を有している弁護士であれば、地域の病院、医師の状況について、相当程度把握していることが多いです。

どこの病院にいけば、患者の話にしっかりと耳を傾けてくれる医師がいるのか、診断書をしっかりと丁寧に記載してくれる医師がいるのか、把握していることも少なくないです。

 

医師面談や、医師との書面でのやり取りも経験が豊富であるため、医師の特性や状況に応じて、きめ細やかに対応することもできます。

 

結果として、人身傷害事案に関して豊富な経験を有する弁護士と、そうでない弁護士とで、最終的に獲得できる保険給付ないし損害賠償金に大きな差が出ることがあり得ます。

そのため、人身傷害事案に関して豊富な経験を有している弁護士であることが不可欠といえます。