労働災害を弁護士に相談すべき5つの理由
1.事業主(会社)とのやり取りから解放される
労働災害に遭ってしまった場合、労災保険から給付される以外の損害については、基本的に事業主(会社)に直接請求しなければなりません。
労働災害に遭うまで働いてきて、今後も働いていくという場合に、被災者本人から、事業主(会社)に損害の請求をしていくというのは、極めて心理的負担が大きいです。
ほとんどの方が労働災害に遭うのは初めての経験ですので、ご自身では分からないことも多く、事業主(会社)との交渉については、労働災害による傷病で辛い状況下、非常に大きなストレスとなることが多いです。
弁護士にご依頼頂くことで、この事業主(会社)との交渉を弁護士が代わって行いますので、被災者の方は、心理的な負担となる交渉から解放されることとなります。
2.適切な賠償金を確保できる
労働災害では、労災保険から一定の給付がなされることになりますが、労災保険からの給付は、被災者の方の損害を全て塡補する内容にはなっていません。
慰謝料は含まれていませんし、休業損害も逸失利益も全体の一部のみです。
そのため、被災者の方の損害を裁判所の基準で正確に算定して、労災保険で給付されていない部分を事業主(会社)に対して、請求していく必要があります。
被災者の方が、自分の損害を裁判所の基準で正確に算定するということは極めて困難ですので、被災者の方がご自身で事業主(会社)と交渉する場合、十分な賠償金の支払いを受けられないことが結果として多くなります。
また、事業主(会社)の側でも、支払はできるだけ小さくしたいという意向が働くことが多いですので、「あなた(被災者)の側にも落ち度(過失)があるのだから、その分減額(過失相殺)する」等の説明がなされて、一方的に支払額が減額されてしまうこともあり得ます。
弁護士にご依頼頂くことで、被災者の方の損害を正確に算定することができますし、過失についても過去の裁判例との比較等の分析に基づき、事業主(会社)に対して、適切な反論を行うことができます。
そのことにより、被災者の方が本来受けられるべき適切な賠償金を確保することができます。
3.適切な後遺障害の認定が受けられる
労働災害により怪我を負ってしまい、治療を続けたけれども、どうしても症状が残ってしまうことがあります。
その場合には、残ってしまった症状について、後遺障害の認定を受けて、症状に応じた賠償を受ける必要があります。
労働災害においては、基本的に、労災保険で後遺障害の認定を受けることになります。
労災保険は、交通事故の場合に後遺障害を認定している自賠責保険よりも、被災者に有利な認定をすることが多い印象を受けていますが、それでも、必ず適正な認定がなされているわけではありません。
後遺障害には、最も重篤な1級から、比較的軽度な14級まで「等級」が定められており、それぞれの等級によって支払われる損害賠償金の額が異なります。
等級が1等級違うだけで、数百万円から数千万円まで差が付くことも少なくないです。
そのため、残ってしまった症状に応じた適正な等級の認定を受けることが、適正な賠償金を受ける上できわめて重要です。
しかしながら、労災の後遺障害申請に必要な診断書を作成する医師は、治療の専門家であり、後遺障害の専門家ではありません。
そのため、医師が作成したものをそのまま提出しても、実際の症状に見合った後遺障害が認定されないということも出てきます。
弁護士にご依頼頂くことで、診断書の記載内容の精査、必要な検査が行われているかの確認等を行うことができ、内容が不十分であれば、医師面談等により、記載の追記、訂正等を依頼することができます。
そのことにより、被災者の方が労働災害によって被った実際の症状に見合った適正な後遺障害等級が認定されるということに繋がります。
4.複雑な労災保険制度に関しての不安が解消される
業務中に怪我を負ってしまった場合、「労災保険を使用できるのではないか」と思われる方は少なくないです。
しかしながら、
「どのように労災保険を申請すれば良いのか」
「労災保険では何が支払われるのか」
「事業主(会社)の方で労災保険を使用することに消極的だが、どうしたらよいのか」
「休業補償が支払われているが、被災前の給料の額と比べると少ない気がする」
「通院を続けているが、症状が完全に良くならない。どうすれば良いのか」
等の疑問が湧いてくることが少なくないです。
労災保険は、労働災害に遭ってしまった被災者の方が、事業主(会社)に資力がない場合でも、一定の補償を受けられるように作られた制度ですが、その申請方法や給付内容は必ずしも分かり易いわけではありません。
現在は、インターネット上である程度の情報を調べることができますが、インターネット上に記載されている情報は、実務上の取扱いと異なることも少なくありません。
事業主(会社)は、労災についてある程度の情報を持っている場合が多いですが、事業主(会社)は、ややもすると自分たちに損害賠償請求をされてしまう恐れがあるため、必ずしも、持っている情報を全て開示してくれるとも限りません。
そのため、被災者の方は、疑問や不安を抱えながら治療や就労を続けなくてはなりません。
弁護士にご相談頂くことで、労災の制度全体について説明を受けることもできますし、自分が一体どんな補償を受けることができるのかも説明を受けることができます。
当然、事業主(会社)に損害賠償請求できる場合であれば、そのことも説明を受けることができます。
それにより、被災者の方の不安が解消されることとなり、安心して治療や就労を続けることができます。
5.受領できる金員を漏れなく把握することができる
労働災害に遭って、怪我を負ってしまった場合、労災保険から治療費、休業補償、後遺障害の逸失利益等の支払を受けることができます。
しかしながら、労働災害に遭ってしまった場合に、受領できる金員は労災保険だけではありません。
事業主(会社)から損害賠償金の支払いを受けられることも多いですし、事業主(会社)が労働災害総合保険等の私保険に加入していた場合には、民間の保険会社から保険金の支払を受けられることもあります。
重度の後遺障害が残ってしまった場合には、いわゆる障害年金から年金の支払いを受けられることもあります。
労働災害により被災者の方が不幸にして亡くなられてしまった場合、高度障害が生じた場合には、住宅ローンに関して団体信用生命保険から保険金が支払われることもあります(通常の生命保険や傷害保険から保険金が支払われることも当然あります。)。
労災保険に休業補償給付の申請をしたものの、不支給決定がなされて、不服申立をしなければならない場合などには、収入が途絶えてしまい、生活に困窮する恐れもあります。
そのような場合には、健康保険の傷病手当金を申請することで、当面、生活を維持することが可能となります。
以上のとおり、労働災害に遭って、怪我を負ってしまった場合に受領できる金員は多岐に及びます。
労働災害に遭うのは初めての方が多いですので、これらの内容を全て把握すること自体、容易ではありません。
弁護士にご相談頂くことで、労災保険や事業主(会社)への請求はもちろんですが、それ以外にも給付を受けられるものがないか、把握することができ、結果として、本来受領できる金員を漏れなく請求できるということに繋がりやすいです。